「ヒールの似合う女性がいた。美しく座る人だった。」のイラッとポイントとは

鉄道会社のマナー啓発広告が話題になっていた。


 
この広告は、上の写真の女性目線で、下の写真の「ヒールの似合う女性」を見ているという形となっている。両隣に座り方のマナーが悪い男性を配置することで、周りに迷惑をかける座り方はやめましょう、というメッセージを啓発している。
 
これについてtwitterで不快感が表明されている。
 
どこに不快感があったのか。まずは文章が問題だと考える。
これはマナー啓発広告だ。
この文章は、
「ヒールの似合う女性=座り方がキレイ=マナーがいい」
と結論付けている。
逆に言えば、
「マナーが悪い=座り方が汚い=ヒールの似合わない女性」
と受け取れてしまう。
お分かりだろうか。
「ヒール」という言葉を入れている限り、マナーがいいのも悪いのも、どちらも「女性」の問題となってしまうのだ。
 
これについて「写真でフォローされているだろ」という人もいるだろう。確かに写真では女性の両隣は上下の写真とも「座り方が汚い=マナーの悪い」男性が配置されている。
写真では「マナーが悪いのは男性、マナーがいいのは女性」となっている。
 
しかし、これこそが問題で、「ヒール」の文章と混ざることで、「座り方が気になるのは女性だけ」「ヒールと関係ない男性は座り方に文句を言われない」という誤解を生んでしまう原因となっている。
「男性は脚を開いて座ってもいいけど女性は脚を閉じて座りましょう」というメッセージになってしまっているのだ。
 
この広告の問題は、「マナーが悪い男性」に訴える内容にはなっていないことにある。この広告で「座り方に気をつけよう」と思うのは女性だけだ。「女性が女性を見て女性に訴える」広告になっている。
全て女性で完結されているのだ。
 
もし写真の両隣のような座り方のマナーが悪い男性に向けてメッセージを発信したかったならば、真ん中の女性をサラリーマン風の男性にして「革靴が似合う男性がいた。美しく座る人だった。」とするべきだろう。
 
性別関係なくメッセージを発信したかったならば、下の写真の両隣のマナーの悪い人物を男女両方に、真ん中をスーツの女性(男性でもいい)にして、上の写真の観察者の性別を下の写真の真ん中の人物と逆にした上で、「見習いたい人がいた。美しく座る人がいた。」というメッセージにすべきだった。
 
と、ここまで書いた上で、あくまでtwitterの一ツイートを元にした考察なので、もしかしたらこの広告とは別に男性向けの座り方マナー啓発広告も用意してあるのかもしれない。