パクりパクられの許容範囲問題

【パクリ疑惑】『コトコトくどかれ飯』が『女くどき飯』に似過ぎている件、ついに田所コウ(小毛山)さんからリプライ - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/861258

Web連載されている漫画『女くどき飯』の作者峰なゆかが、講談社の雑誌『KISS』連載の『コトコトくどかれ飯』に、タイトルと設定が被っている、私の作品のパクリだとクレームをつけた。しかし実際に調べた人によれば、漫画の内容は全然違っていたという。それでも『コトコト』の作者はこの騒動後、自身の漫画の技量に自信をなくし、連載中断を申し入れたとのこと。リンク先では、タイトルと設定を似せた作品を発表することの是非、峰なゆかのクレームに正当性があるかが話題になっている。ざっと見た感じ、アイデア著作権はない、タイトルと設定を似せた漫画を描いて発表しても問題ない、峯なゆかのクレームはやりすぎ、というコメントの流れになってるようだ。


一方で思い出したのは、確か昨年の騒動で、ゾンビ退治公務員を描いた日常系ゾンビ漫画の作者が、テレ東で放送されるゾンビ退治公務員を描いた日常系ゾンビドラマに、原作依頼もされてないのに設定をパクられたと、クレームを入れた件。あの時も、Togetterでまとめられ大いに話題になったのだが、今回と反応は違って、漫画作者の肩を持つ人が多く、放送前からテレ東のドラマが酷く叩かれていた。放送されたドラマは、自分は見てないが、見た人の反応によれば別に漫画の内容とかぶっていないという話だったかと思う。漫画作者は、日常系ゾンビもので公務員が主人公という設定を初めて作ったという自負からパクリ指摘をし、またテレ東スタッフが放送前の発言で妙にオリジナリティを強調していた件がより批判を生んだという点もあったと思ったが、それは別の話。アイデア流用は認められていて、漫画とドラマでは内容も違っていた。世間の反応は非常に流動的だ。


思うのは、こういうパクリ指摘は自分より低い立場で行われている場合、気付いても見逃す人がほとんどだろう。自分より高い位置から設定を真似てきて自分の作品に挑戦してきたからパクリ指摘で対抗しているのだ。ドラマ化までしたとはいえWeb連載でしかない『女くどき飯』に対し、巨大出版社の講談社の漫画雑誌が設定を被らせてきた。やり手の編集に宣伝を上手くやられると2番手の『くどかれ飯』の方が著名になってしまうかもしれないという危機感。漫画好きの間では有名で人気作だった公務員ゾンビ退治漫画だが、テレビ局が同じ設定でドラマ化してきた。テレ東とはいえ全国ネットで放送され宣伝されたら、自分の漫画が二番煎じと世間に思われてしまうかもしれないという焦燥感。「あれ?これらの似た作品、どっちが先だったっけ?」という現象は実際にあるし、やられると怖い。自分の作品のアイデアや設定を他人に勝手に使われたくないというのは分かる。


少し前には、あるある漫画をtwitterに投稿して好評を箔している地下アイドルに、類似の作風でtwitterに先に投稿していた元祖とも言えるアカウントの人が、パクリクレームを入れた件が、これまたTogetterでまとめられていた。クレームを入れるきっかけとなったのは、twitterのフォロワー数が、元祖のアカウントよりも地下アイドルのアカウントのほうが多くなって、さすがに同じ作風として見逃すことができなくなったのだという。(この件は地下アイドル自身が元祖の作風を参考にしていることを過去に認めている)。弱小のうちは見逃すが自分を超えてくる相手に人は容赦できないのだ。


東京五輪2020のエンブレムの盗作問題についても同じで、実際に盗作か否かは置いといてお互いに似ているのは自明。五輪ともなれば、巨大資本により今後閉会するまで世界中でこのエンブレムがアピールされ続けるわけで、ベルギーの劇場ロゴが先に発表していたとしても、世間の認識では「東京五輪エンブレムに似てるわね」という評価になってしまいかねない。似ているマークを使われるベルギーのデザイナーの恐怖だったり訴訟理由は、そんなところにあるのだろう。


同じく問題になってるサントリートートバッグの件で、黒猫が半分顔を出してるデザイン。別の人の作品と丸かぶりだがトレースではないしコピペでもなくアイデアだけ流用だから法律上問題ない。しかし名前が売れてちからも持ってる著名なデザイナーが自分の名前を冠して発表するのはどうなのかという話は残る。100円ショップ商品のデザインとは違うのだ。パクる場合は自分の立場をわきまえた上で相手を超えないようにする配慮の気持ちが必要。