容疑者の実名報道への疑問記事と、韓国の匿名報道の経緯をまとめた記事

近年の日本の報道では、相模原障害者施設大量殺傷事件や京アニ放火殺人事件をきっかけに、大きな事件・事故で被害者の名前が匿名で記されるようになった。

が、容疑者・犯人の名前は未だに実名原則で、世論も実名を求める声が大きいのだが、そんな中、弁護士ドットコムに「実名報道はいらない」という記事が掲載された。

 

容疑者の実名報道について疑問を呈する記事

逮捕報道で「数十年住んだ家まで失った」 デジタル時代に深刻化するメディア被害、それでも「実名報道」は必要か? - 弁護士ドットコム

www.bengo4.com

兄弟が家庭内暴行で逮捕され不起訴になった人のケース。報道被害が深刻だとして実名報道に反対を唱える。

韓国では容疑者の顔を隠して匿名で報道する

お隣韓国では20年以上前から事件事故の容疑者は匿名で報道されている。そうなった経緯は以下の記事に詳しくまとめられている。

'被疑者本名・顔公開' 正解ないか : 社会 : hankyoreh japan登録2009-01-30

www.hani.co.kr

 

[取材ファイル]韓国でのみ公開された議論が起こる理由 1998年最高裁判所の判決と代案の模索 출처 : SBS 뉴스 원본 링크2023.06.09

news.sbs.co.kr

 

簡単に言えば、かつて無罪判決を受けた元容疑者が自分を犯人だとして好き勝手書いたマスコミを訴えて、韓国最高裁は1998年に「事件の内容を報道することは公共性があるが、容疑者の実名を報道することに公共性はない」という判決を出した。それ以来、韓国メディアでは容疑者を匿名報道することが原則となった。

それとは別に韓国では容疑者を送検する時に、警察が容疑者にマスクと防止を被せて顔が分からないようにする。これも容疑者が警察を訴えて勝訴したことでできた仕組みとなる。

一方で、こうした匿名報道に不満を訴える韓国世論もある。そういう人たちは「アメリカや日本では実名報道してるのになんで韓国だけ、、、」と言うわけである。日本で社会的制裁としての実名報道を求めるのと同じで、基本的に右派・保守の方が、そう主張する傾向にある。

2010年には凶悪犯罪に置ける容疑者の身元報道の是非が議論となり、被疑者身上公開制度 という法律ができた。

被疑者身上公開制度 - ナムウィキ

피의자 신상 공개제도 - 나무위키

これ以降、重大犯罪において司法が容疑者の身元を公開するか判断されるようになった。

今の韓国の保守政権下では更に身元公開の対象を拡大しようと推し進めているという。