正しい情報ならば「私刑」してもいい、とテレビとネットが一致団結

今日のフジテレビ「ワイドナショー」で川崎中1殺害事件における「ネット私刑」について取り上げられていた。犯人一味として炎上被害にあった女子学生がいたとのこと。経緯を詳しく調べてないが、「川崎のオラついた中高生とフォロー・フォロワー関係にあった」ことから放火魔に目をつけられ祭り上げられたようだ。そして、この女子は事件と全く関係ないことから、この炎上冤罪事件について酷すぎると話題になっている。「ネット私刑」問題について、犯人に対する私刑の是非が問題として取り上げられるかと思いきや、犯人への私刑が無関係な人に対する誤爆、冤罪を呼ぶことへの問題が、今問われているらしい。テレビでも「ネット冤罪」はどう防げるのか、嘘情報を流した人を法律で厳しく取り締まればいいのではないか、という意見が出されていた。ようは、正確な情報ならば別にいくらでも私刑として個人情報を流してもいいと考えているらしい。正確に犯人の氏名と住所を流し、Googleマップに正確にタグをつけ、頭のおかしな人の突撃を誘い落書きや中継をさせる行為もアリなのか。この辺の議論をテレビで見たかったが、今回の番組では触れられていなかったみたい。


ネットの「私刑」批判でも同じロジックで、「その情報が嘘だったら炎上煽ってた奴はどうするんだ!」というものばかりだ。

正義感で個人情報を晒すことを許容していると、またスマイリーキクチ氏の中傷被害事件と同じようなことが起きると思います: 不倒城
http://mubou.seesaa.net/article/414963943.html

プライバシー晒しという私刑を許すと誤爆被害が増えるぞ!という警告。私の読んだ限り、そんな「正義感」はクソだ!とはこの記事で言っていない。
この手の話題を読んで思うことは、じゃあ誤爆でなければいいのか、正確な情報ならばいいのか、という疑問。
リンク先の記事では、そもそも法による刑罰があるのだから私刑としてのプライバシー晒しは許されない、正確な情報を流す人がいるにしても一人を許すとフォロワーが次々と出てきて誤爆する可能性が高くなるからダメだ、などというように答えている。
とすると次に思うことは、じゃあ正確な情報を私刑という主旨でなく流すことはいいのか、という疑問。
それについては、そもそも加害者側のプライバシーを公開することにエネルギーを費やすのではなく被害者側のプライバシーを守る方向にエネルギーを向けるべきだ、などとリンク先の記事では訴えている。



川崎の事件でいえば、twitter2chで流れた、女子が関わっていたという情報や、トイレ暴行事件との関連はデマであったが、殺害事件の犯人少年の写真や氏名については真実であった。



個人的な意見としては、正確な情報と信じるならば自分の信念で公開すればいい。しかし正確だと信じるためには普通なら多くの関連情報を調べたり、不確定な情報を取材で補ったりする必要があり、一般的なマスコミはそれを行っている。一方、現在のネットメディア(ニュースメディア、まとめサイト、バイラルメディア、ブログメディア、SNS、すべて含む)は必要な取材・調査をせずに「こんなことが書かれていた」とだけ拡散させる。このことが問題を大きくする原因であって、今回の事件のケースでいえば、最初にtwitterを通じて流れた「犯人少年の画像」については、直接この画像を投稿したアカウントに取材をするか、現場周辺で取材をすれば、信ぴょう性は確認できたはず。今回、信ぴょう性を確認できたのは、フジテレビがニュースでtwitterに流れた写真と同じ写真を容疑者画像としてモザイク入りで報道したからであった。ここ数年、ネットの不確定情報をマスコミ記者が確かめて答え合わせするという連携プレーが捗っている。取材力のあるマスコミを動かすために敢えてネットが不確定情報で炎上を煽るというケースもあるかと考える。