複数の冤罪逮捕事件を生み出したPC遠隔操作による連続犯行予告事件の犯人と目される男が捕まった。テレビや新聞報道を見ると、その経緯が書いてある。去年から犯行予告が行われ、誤認逮捕で無実の人間が拘束され、マスコミ各社へ犯行声明文がメールで送られ、今年の正月に江ノ島の猫にMicroSDカードの首輪がつけられ、その様子が防犯カメラの映像に残っていて逮捕の決め手になったとか。犯行の動機として「『警察・検察を嵌(は)めてやりたかった、醜態を晒(さら)させたかった』という動機が100%です」と犯行声明文に書かれていたとか。さらに容疑者の犯罪歴が暴露され、エイベックスののまネコ商標登録問題のときの脅迫事件の前科の話が持ちだされている。
(自分も含め)野次馬のブラックな感情をくすぐる容疑者の生い立ちなどはホントどうでもいい細かいことまで報じられるが、自分が一番気になることが報道ではまったく指摘されない。ちょっとこれってどうなの。一言ほしい。
容疑者の男は、猫につけたMicroSDカードに入った声明文では、犯行の動機として「自分は以前、事件に巻き込まれたせいで、無実にもかかわらず、人生の大幅な軌道修正をさせられた」と書いていたはずだ。容疑者の男が真犯人だとすればそれはエイベックスの事件か仙台市の小学生殺害予告事件だったりの話のはずで。それに関して、警察が再捜査に動いたり、捜査資料を確認したり、当時の捜査官に聞き取りを行ったりしたという報道は聞かない。容疑者の前歴報道によれば、容疑者の男は小学生殺害予告事件で最初に逮捕され、その中でエイベックスの予告事件も「自白」したということだけど、その自白はほんとの自白なのか?と疑問が残る。だって一連の誤認逮捕の冤罪事件でも「自白」しちゃった人が何人もいたから。エイベックスの事件では被害総額1800万円と計算され、親ができるかぎり賠償しますと公判で約束したそうだ。無実だったらそりゃ人生狂わされたといえる。
まあ容疑を完全否認の段階で、猫の犯行声明文と結びつけるのも早いのだけど、マスコミの一連の報道じゃもう完全に真犯人として扱われているので、一言か一文でも指摘するのが当然じゃないか。慎重に慎重を重ねた今回の逮捕に関しては完全な真犯人と扱うのもいいとしても、まだネットの犯行予告に関して冤罪の可能性の認識が薄かった8年前の事件に関して、もっと疑って報じたほうがいいと思った。