フッ化水素酸事件報道に関する誰もが思う疑問

昨日の夕方から報道されているフッ化水素酸事件。フッ化水素酸を靴に塗られた女性が、知らずに履いて指を切断する被害を受けた。そのことで同僚男性が殺人容疑で逮捕された。男性は女性に好意を寄せていてストーカー気質もあったという。さらにこの男性は職場でフッ化水素酸を扱う立場の役職についていたという。男性は容疑を否認している。


というところまでが、自分が見聞きした範囲の報道内容。テレビのキャスターやコメンテーターなんかだと、容疑を否認というところを無視して、「捕まった男はとんでもない奴だ!」なんて断罪コメントをどの番組も繰り返している。まあそれだけ警察も確実な証拠を掴んでいるということかもしれない・・・


報道を聞いていてイライラするのは、こういった一方的な断罪コメントに対してではない。視聴者や読者の誰もが思い浮かべるであろう肝心なことを一言も触れてないからだ。


報道では、女性の職場でフッ化水素酸を扱っていたのが容疑者の男性だったから逮捕した、のだと受け止められる。しかし男性は容疑を否認している。では、その職場で他の社員もフッ化水素酸を手にとることは不可能だったのか?他の人間がこっそり管理している部屋に忍び込んで盗むことはできなかったのか?他に犯行が可能な者はいなかったのか?そういうことが全く報じられていない。


別にまだ取材できていないならそれでいい。そのことを報じればいいだけだ。テレビならコメンテーターが一言触れるだけでもいい。「そのフッ化水素酸は容疑者男性しか持ち出せなかったんでしょうか?」と。記者が「まだ警察取材中です」と答えればいいだけ。


なのに報じられるのは「容疑者の男性は容疑を否認してますが、警察は今後動機などを捜査していくということです」なんて変な内容。容疑を否認してるんだから動機なんて答えようがない。警察が容疑者につきつけなきゃいけないのは、ぐうの音も出ないほどの確固たる証拠だろう。で、報道するなら「容疑者の男性は容疑を否認していますが、警察は今後証拠を揃えて書類送検する方針です」とか「検察は証拠を揃えて起訴する予定です」って内容だろうに。