週刊文春の鳥越醜聞記事の「淫行」見出し

以下、週刊文春記事の、告発者の証言内容に沿って話を進める。

「淫行」見出しについて。

現在、一般的には未成年との姦淫犯罪を指す言葉として使用されている。辞書的意味合いでは、犯罪行為を特定して指す言葉でもないし、未成年相手に限った性行為を指す言葉でもない。しかし文春的には、60歳代の老人が40歳近く年下の20歳の女性の体を求めたという点において、ロリコン的行為であり、「淫行」という言葉がふさわしいとして、カギ括弧付きでデカデカと見出しにつけたのだろう。


それでもやはり「淫行」という見出しは、読者を誤解させる意図を含んでおり、都知事選の鳥越サイドが激怒するのは当然のことである。このような、週刊誌やスポーツ紙が言葉を弄んで誤読を誘うやり方は、私は決して否定するものではないが、むしろこういう釣りタイトルは面白いと思う方でもあるが、同じことをネットでブログやまとめサイト、ウェブメディアが行ったら、「捏造」として断罪され、炎上の原因となるレベルである。なので、ネット有識者で「これはOK」と言ってる人は理解できない。

成人相手でも「淫行」? 文春の鳥越氏報道へ違和感持つ人も : J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2016/07/21273171.html


では、どんな言葉なら良かったか。

「キス」

記事の内容からは、現場で女性と鳥越の間に起きた「淫らな行為」はこれだけだが、「女子大生とキス」だけでは見出しは弱い。採用されない理由も分かる。

「不倫(未遂)」

鳥越は当時既婚者であり、キスだけでも十分「不倫」と見出しがつけられるだろう。実際に性行為は行っていないことについては、小さく後ろに「未遂」と入れておけばいい。しかし、鳥越の妻は現在は亡くなっており、「不倫」のインパクトは読者にほとんど与えられない。

「セクハラ」

女性と鳥越は師弟関係であり、別荘へ誘う、キス、ベッドに誘う、性的な声掛けなどの行為は、立場を利用したセクシャルなハラスメントだ。しかし、2人は同じ組織に属していたわけでもなく、また最近はこの言葉は軽いもの扱いされることが多く、インパクトは弱い。今回の件では使用しづらい。

「肉体関係強要」

そこでピッタリくるのは「強要」という言葉。自分の立場を利用して相手を思い通りにする。今回の記事の内容にもしっかり当てはまる。たとえ性行為は未遂に終わっていても使用可能。週刊誌的に言うなら「SEX強要」でもいい。アイシンAWの幹部が就活面接で女子大生に関係を求めた記事でも「肉体関係強要」という言葉が使われた。
しかし、文春がこの言葉を選ばなかったのではなく、選べなかった。実際に被害を受けたとしている女性からの証言を直接取ることができなかったから。又聞きのコメントだけでは、「強要された」という直接的な言葉を使うことはできないのだろう。

「ゲス」

立場ある男が欲望のままに女に手を出し傷つける。その行為や結果の内容いかんに問わず、これを見出しで表せる言葉は、今は「ゲス」しかない。「ゲス」。男性の下半身スキャンダルの見出しは、全部この言葉でいいのではないか。「鳥越俊太郎、女子大生にゲス行為!」。
几帳面な人の中には「『ゲス』は『不倫』とセット」なんていう人もいるだろうが、鳥越も当時既婚者であったんだから問題ない。