別に「ユッケを出すな」と言わないけれど…

朝ドラ視聴後にワイドショーザッピングしてたら、どこもかしこも焼肉店の生肉食中毒のことだった。
日テレのスッキリでは視聴者の声を紹介。厚労省が生肉提供を黙認してたことへの批判が多かった。でも厚労省は「生肉出さないようにお願い」は、していたわけだから、問題なのはテレビや雑誌で「生肉食サイコー」と危険性伝えないまま視聴者・読者を煽ってたメディアの側にあると思った。
スッキリでは、都内100店舗の焼肉店にアンケート。ユッケ出してた店で事件後ユッケやめたのが6割程度。ユッケ出し続けてる店でもお客にお薦めすることはなくなった、とのこと。で、そのユッケ提供している店に「どうやって安全管理してますか?」と取材に。ってこの店、前にもどの番組か忘れたけどテレビで同じ取材を受けていた。前は、まな板に熱湯かけるシーンだけ映して「他の焼肉店はこれだけ安全に気をつけてました」って言ってて呆れたんだけど、今回はバージョンアップ。でかい固まり肉をまず一回表面をトリミング、小分けしてさらにトリミング、という2段階のトリミングを踏んでいた。2回目のトリミングの前にお決まりのまな板熱湯かけ流し消毒。その後アルコール吹きつけて消毒、包丁も「一応」アルコール消毒。小分けした肉をユッケ用としてラップにくるんで「扉がなかなか開かない」冷蔵庫に保存。という手順を踏んでいるからこの店のユッケは焼肉酒屋えびすと比べて「安全」と番組は言いたいらしい。
でも、同じ包丁使い回してたり、肉触れた手でラップベタベタ巻いてたり、まな板の上で無造作に肉ひっくり返してたり、そもそもまな板が新品すぎて「テレビ取材用に用意したの?」と普段からやってないんじゃないかと思わせたり、裏の「とくダネ」で熱湯1分つけると大腸菌全滅すると言ってるのにまな板消毒は熱湯かけ流すだけだったり、包丁に関しては熱湯をかけもしなかったり、包丁をアルコール消毒する際に「一応」とつぶやいてて「普段からやってんのか」と思わせたり、アルコール消毒した包丁をシンクにあった布巾で拭いてわざわざアルコール拭きとってたり、とてもじゃないけど「安全」というメッセージには疑問符をつけざるを得なかった。えびすみたいに最初から病原性大腸菌が肉についてたら、たとえ普段から同じ対策してるにしても食中毒を防ぎきれないのではないだろうか。「ほかの焼肉店のユッケ調理では…」という切り口の取材VTRは、民放だけでなくNHKもやっていたが、NHKが取り上げた別の焼肉店では、卸業者からユッケ用の小分けにされた肉が真空パック包装して送られてるとか言ってて、店の人はトリミングについて一切言及することもなく、「それってえびすと一緒じゃん」と見てて突っ込んだ。このNHKやスッキリみたいに普段やり慣れて無さそうな調理現場を撮すよりも、肉の仕入れ先を明かして、「うちはえびすと違って〇〇業者から信頼できる肉を仕入れている」と言ったほうがよっぽど安心感がある。
コメンテーターの友利新さんが「消費者は安全安心なユッケを食べたい」みたいに言ってたが、そんなに食べたいならリスクあること前提で食べなさいな、と思った。テレビもこんな中途半端な店の対応で「今焼肉店で出されているユッケは安全安心です」なんてイメージを視聴者に植えつけていいのかな。隣の勝谷さんが、「俺もこの店行ったことあるけど高級店ならみなちゃんとやってる」と発言して、司会の加藤浩次さんが「私も行ったことありますけど」と受けて、ああ芸能人御用達の店なのね、とヨイショVTRも納得。テリー伊藤が「厚労省は対策に1年もかけずに即対応して安全安心の生肉食わせろ」みたいに言ってたが、それで「安全安心」を担保できるの?厚労省批判はとくダネでもやってて笠井アナが「厚労省遅すぎる」という批判めいたニュアンスでユッケ問題を解説。一人頑張ってたのが司会の小倉さんで「食のことをなんでもかんでも規制というのは・・・」みたいに笠井アナの意見にやや反対の姿勢。小倉さんは、この後の浜岡原発停止要請のニュースでも笠井アナが「菅総理の支持率アップのためのパフォーマンス」と政治記者のインタビューで締めようとしたのに対し、「いや菅総理にしては『まともな思いつき』」と今回の要請の決断を褒めていて、司会の小倉さんと番組ディレクターの間で意見に対立だったり齟齬があるのかなぁ、と思った。
で、厚労省が罰則規定決めたら安心なのか、と言えばそうでもないし、店や業者を信頼するしかないのは変わらないわけで、結局はユッケ・生肉食べたければリスク承知で自己責任で食べましょうという話なのでは。