菅直人=東条英機?

ドラマのJINから入って、村上もとかの漫画JINを読んで、派生して同じ村上もとかの「龍RON」を数日かけてイッキ読み。戦前戦中のアジアを舞台にした漫画で、歴史上の人物もそのまま登場している。
そのなかで、「東条英機石原莞爾に協力求めるも石原が『東条が退陣しなきゃ嫌』と協力を断り、それが戦局が悪化していく原因となった」みたいな描写があり、ああ今の政局と一緒だな、と単純ながら思った。
漫画読んだだけでアレだけど、「東条=アホで悪、石原=優秀で善」みたいな認識は一般でも広まってるみたい。実際はいろんな考証があるんだろうけど。漫画では協力断った石原も「どうしようもない奴」、みたいに語られる。
漫画読みながら「東条英機菅直人」と思い浮かべたんだけど、当の政治家の方も同じこと思ってたようで。

自民党谷垣禎一総裁は25日午後、衆院議員会館内で講演し、民主党内にも菅直人首相の退陣を求める動きがあることについて「東条内閣の末期、『東条(英機)さんでは駄目だ』と言って近衛(文麿)さんが動いたけど、なかなか倒せなかった状況のように思える」と述べ、菅内閣を戦時中の東条内閣に例えた。


東条元首相は太平洋戦争中、戦況悪化に伴い辞職しており、谷垣氏の発言は、東日本大震災の復旧・復興などを理由に退陣を拒否する菅首相をけん制する狙いもあるとみられる。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011052500644


結構みんな考えることは一緒のようだ。では、今の政治家で「石原莞爾」は誰かといえば谷垣さんでは役者不足に見えるからやっぱり小沢一郎かな。


「戦時宰相」の進退 : 今を読む:政治 : Biz活 : ジョブサーチ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/columnpolitics/20110525-OYT8T00488.htm

調査研究本部主任研究員 浅海伸夫
 西岡武夫参院議長が菅首相に対する退陣要求を繰り返している。

 「『急流で馬を乗り換えるな』という言葉があるが、急流を渡れず流されているのであれば、馬を乗り換えなければならない」

 読売新聞(5月19日付)に寄せた論文でも、菅首相には激流に立ち向かう「必死さも、決意も、術も」ない以上、「即刻、辞任すべき」だと書いている。

 震災復興は未だに確かな展望がない。福島原発は今になってメルトダウンが明らかにされるなど、事態は深刻なままだ。「非常時」はなお続いているとみなければならない。

 太平洋戦争さなかの1943年1月、「戦時宰相論」と題した論文で、時の首相、東条英機を批判した政治家がいた。ジャーナリストから代議士に転じた中野正剛である。

 非常時宰相たる第一の資格として中野は、<絶対に強きこと>を挙げる。なぜなら、<国は経済によりて滅びず、敗戦によりてすら滅びず、指導者が自信を喪失し、国民が帰趨に迷ふことによりて滅びる>からだという。

 同時に、中野は、「個人の強さには限りがある」ので、天下の人材を活用するなど、指導者は「誠忠・謹慎・廉潔」であれ、とも説いている。

 非常時の今日のリーダーにも通じる提言ではないか。

 当時は検閲が厳しかったためだろう、中野は東条について全く言及していない。ところが、東条はこの論文に激高し、掲載紙の朝日新聞に記事差し止めを命じた。

 東条はこの時期、ある人物と会談している。(藤本治毅著『石原莞爾』から)

 その席で東条が「大政翼賛会はどうしたものだろうか」と口火を切ると、その人は、「民意を反映していない大衆から浮き上がった存在であるが、君が作ったようなものだから、君が始末してはどうか」。さらに東条が「ガダルカナルの戦局を救うための、これからの方法はどうか」と尋ねるや、その人は、居ずまいを正してこう断言した。

 「戦争の指導は、君にはできない。ひいたらどうか。君は総理大臣をやめるべきだ」

 ある人物とは、すでに予備役に編入されていた石原完爾(満州事変の首謀者)である。東条が極めて不仲だった石原にあえて会談を求めたのは、余程のことだったろう。逆に石原も、私情を超えて、裂帛の気合で東条に辞任を迫ったものと思われる。

 しかし、東条はこの諫言を聞かなかった。ずるずると無謀な戦争を続け、退陣に追い込まれるのは、これから1年半後、44年7月のことである。

 「戦時宰相」は、自らの進退についてどう決断したらいいのか。

 それが国家の命運と国民の生命に直結することを、改めて思わざるをえない。