世田谷ラジウム騒動について

世田谷の古い住宅から放射性物質ラジウムが入った瓶が発見された事件。高い放射線量を示したことから、福島の原発事故との関連を誰もが疑ってしまう。TBSやテレ朝のニュースでは首都大学東京の福士政広教授の現地調査の様子を中継し、区の発表前にラジウム226の影響で原発由来でない、と報じていた。
その福士教授がどうやって調査したかといえば、核種を特定できる線量計を用いてピピピと検査しただけ。大量のラジウムが保管された状態だったから、検査機をかざした途端に「Ra 226」と表示されてた。
世田谷区の保坂展人区長のブログによると、市民団体がこの民家の放射線量測り、区に連絡したのが10月3日。その日の夕方に区の簡易測定器で計測。翌日から10月9日までの間に、より精度の高い測定器で何度か計測。10月9日には環境測定専門業者に対策依頼して、国と環境省に報告。とある。
世田谷区内の局所的な「高い線量」計測について - 保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/bfe7006ac08a6a89abaa27582cbdeb21
そして10月12日の夕方にマスコミで報道が始まり、13日にはラジウム226と発覚。14日0時に文科省が会見で発表。
もし福士教授の持っていたような核種の特定もできる測定器で調べていたならば、10月3日の時点であっという間に解決していた話だ。原発事故が間近にあるので、まずその影響を考えてしまうのは仕方がないけど、10月3日から12日までの間に世田谷区や環境測定業者が使っていた線量計は何だったのか、と言いたくなる。それなりの測定器で調べれば簡単にわかるのに、わざわざ10日間も遠回りした脱力感。
福士教授の使っていた測定器は「ICx Radiation」とロゴがあったので多分この辺の製品だと思うけど(http://www.tokyo-cal.co.jp/portabls.html)、測定器に上には上がありすぎというか。TBSで福士教授が値段を言っていたが、福士教授が使っているものは1台200万から300万円するそう。個人では手が出ない。行政でも購入に躊躇する。でも世田谷区のような金持ち自治体なら1台くらい購入しといてもよさそうか。


報道メモ
・民家の床下から、いろいろなガラクタと一緒に、木箱→紙箱→ビンに入った粉状のラジウム226を発見
・民家は築50年以上で今年1月までお婆さんが一人で住んでいた。現在空き家。
・お婆さんは90歳でご存命。
・家の持ち主(お婆さん本人とは限らない)はラジウムについて「知らない」
ラジウムの入っていた箱には「日本夜光」の文字
・日本夜光は戦前から戦中にかけて存在した夜光塗料を扱っていた会社。


お婆さんの夫だった人が日本夜光の関係者で会社がなくなったときに余ったラジウムを持ち帰って放置しといたんだろうね。死んだお爺さんの遺品を整理していたら旧日本軍の拳銃が見つかったニュースみたいな。お婆さんは元気のようだけど、お爺さんの死因が気になる。