花巻東の2番打者のカットについて

カットの手法と、カットの意図。この2つの側面から議論されている。



花巻東の2番打者のカットの手法について。
この選手は、普通に安打を狙いに行く時と、カットファウルに専念する時の打撃フォームが全く異なっている。打席に立って最初の3,4球は、安打狙いで、腰を伸ばして狙い球を待つ。2ストライクで追い込まれたらバッターボックス内でせわしなく動き、腰を低くしバットを短く持ち、フォアボールになるまでカットファウルをし続ける。
このカット時のフォームがバントとみなされるか否か、スイングかスイングじゃないか、と議論の的の一つになっている。




花巻東の2番打者のカットの意図について。
この選手のカットの意図については明らかだ。四死球で出塁するために、相手投手のコントロールが乱れるまで延々とカットファウルを狙い続ける。ド真ん中に甘い球が来ても前へ打とうとせずカットファウルをする。それは解説者やアナウンサーが苦笑いしてしまうほど。カットのフォームの時はヒットを打とうとは全く思っていない。
前へ打とうとせず、カットファウルで試合を延長し投手を疲弊させフォアボールを狙うことについて、その是非が議論されている。




プロもやってる。イチローも井端もやってる。という意見がある。しかしトッププロのカットは、別にカット専用の打撃フォームをするわけではない。通常の、ヒットを打とうと思っての打撃フォームから、際どいコースの球を即座に判断してファウルで粘るから、プロの技術は凄いのだ。なのでこの選手のカット技術について「プロでも通用する技術」というのは間違い。目的もプロはヒットを打とうとすることが前提だ。際どいコースの球をカットで粘って、投手を追い込み甘い球が来たら前へスイングするのが、普通の野球選手のやること。フォアボールになることがあっても、フォアボールにするためにカットをするわけではない。その点もプロと全然異なる。




甘い球が来てもカット用の打撃フォームでカットするだけ。この選手のカット手法はバントの定義には合わないかもしれないが、3バントアウトのルールが出来た目的には合致している。カットによる無駄な試合延長を防ぐためのものだ。カットしやすいフォームでカットし続ければ3バントと同一とみなしても構わないと思う。


この選手の今までの努力を無駄にするのか。という意見がある。いくら努力しても勘違いした方向に努力したら何の意味もない。カットを磨くなら、通常の打撃フォームでカットする練習をすればよかったのだ。甘い球がきたら打てるようなフォームで。フォアボール出塁が目的ではなく前へ打つことを目的として。せっかくの7割打者なのだから。


自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルするような、いわゆる“カット打法”は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある



花巻東の千葉、ルールに泣き“カット打法”できず (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130821-00000037-dal-base

この選手の場合、「自分の好む投球を待つために」という目的がズレすぎていた。甘い球を待つのではなく、ストライクゾーンから外れた球を待つだけのものだったのが残念。