Togetterの反応にびっくり 「デマ」を疑うのはいいのだけど…

補聴器をつけて自転車に乗っていたら「聴覚障害者は自転車に乗るな!」と警官に怒鳴られた話 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/834483

この記事を読んでビックリ。記事内容にビックリしたのではなく、この内容についた反応にビックリしたのだ。ネタだ、本当なのか(疑う度合いが強い)、警官は障碍者への扱いを研修しているのでありえない、みたいなの。うーむ。今やデマによる扇動はあちこちに潜んでいるのも確かで、疑うに越したことはない、というのはその通りなのだけど、そのせいかちょっと自分の頭で考えられなくなっているのではないかと心配にはなる。


このまとめ記事で言えば、レポートしているのは障碍者についての漫画を描いている漫画家さんと、その知り合いの普段鍵付きのtwitterユーザー。最初に漫画家が知り合いの実体験を聞いてツイートし、反響があったから、知り合いが鍵を外して自分で報告。情報は「見た」とか「聞いた」という不確かなところからの伝聞ではなく、「自分が受けた」という体験に基づくもの。そりゃ、自意識過剰な不良twitterユーザーが裏アカウントを使って自作自演でツイートしそれをまとめて工作するとか、日常茶飯事ではあるけれども、この漫画家と知り合いの普段のtwitterの書き込みにそういう点はまあ見られない。普段特に嘘を言っていない人が自分の体験をネットで話した。こういうツイートについて、「ネタだ」「嘘だ」とついてしまうと何もつぶやけなくなってしまう。


主観的な書き方について疑うのは分かる。「警官が怒鳴ってたとあるけど単に声が大きかっただけじゃないの?」「殺意を持ったってそこまで怒ることなのか?」「自転車側も警官を苛つかせる態度だったのでは?」「話を盛ってないか」などなど。この辺、相手側の言い分が書かれていない体験談では分からない。


また、この体験談を元に十把一絡げに警察叩きをするなんてこともできない。勉強不足の粗暴な警官もいれば礼儀正しい警官もいる。全員が全員同じじゃない。また警察が組織として補聴器を取り締まるなんてことをしているはずがない。この一連のツイートを受けても「嫌な警官に当たっちゃったんだなぁ」くらいの感想しか持てない。


自転車罰則強化に関するツイートといえば、一方で、停止中にスマホを見てたら警官に摘発された、という方は眉唾と思ってる。自分が体験したというツイートは拡散後に削除されている。普段のツイートもチャラかった。信用できない。また、別の人による「おじいさんが停止中のスマホで警官に囲まれているのを見た」というツイートは実体験ではない。摘発されたかどうかは分からない。単に誤解から注意されただけという可能性もある。別の件で囲んでいた可能性もある。だから摘発されたという事実はないのだろうなと。


Togetterまとめで似たような事例としては、「アンネの日記」破損事件に関するツイート。図書館関係の人が別の図書館職員から「アンネの日記が破られている」と聞いた話をツイートし、それがまとめられた。このTogetterにも「アンネの日記が破られた」という事実からして「ネタだ」「本当か」だのといった反応がついていた。「ヘイトとは関係ないのでは」「故意に破られたわけではないのでは」と疑うのは分かるが、図書館関係者という身分で、確かな図書館職員から聞いたという話について根拠なく「破られた事実」を疑う声が少なからずあったことにビックリした。どっかのアニメアイコンのチャラいアカウントやへんてこな使命感あふれるアカウントが「知り合いの図書館員から聞いたけど〜らしい」とつぶやいているのとは違うのだ。


あと他に福島の原発作業か何かについてで、西日本の教師か何かのtwitterアカウントが、福島のNPOかどっかの知り合いから聞いた話として、作業のひどい現状か何かをつぶやいたのがまとめられた時も、デマだ何だと反応がついた時にも同じ気持ちになったのだけど、元のまとめやツイートがはてブしたと思ったのに見つからず結局あやふやなことしか書けない。まあこういう記述は全く信頼しなくていい。きちんとはてブを整理してこなかった自分が悪いのだ。


また体験談といっても、匿名での投稿は丸っきり創作として読む。具体的記述があるもの、内部告発系に関しては、専門知を持つ他人の判断に任せる。


こうして書くと、「具体性があるか」が自分の指針になっている。最初に戻って自転車補聴器の話題について、どこに具体性があるか。ツイート自体に、時間も場所も人も具体的なことが書かれていない。しかしアカウントは匿名ではなく具体性を持つ。逆に主観的な見方が具体的に書かれている部分は疑う。


とまあ、なんだかネットも変な場所になったなぁという話