明治の産業遺産の世界遺産登録問題、日テレ世論調査で「韓国に妥協する」が過半数

日テレの世論調査が話題になっている。



日本テレビ世論調査



安倍内閣と懇ろの読売系列の世論調査で支持率が下がった点が注目を集めているらしい。でもまあ読売新聞は日本テレビとはまた別に世論調査をしているし、テレビ局単体での調査ってどうにも正確性で信用できない。とは思えども、問12の回答結果が非常に興味深いものになっていた。

[ 問12]
安倍内閣は、明治の産業革命に関する製鉄所や九州の炭鉱跡などの施設を、ユネスコ世界文化遺産として登録しようと作業を進めています。これに対して、韓国政府は、強制徴用されて朝鮮人労働者が働かされた施設が含まれているとして、反対しています。あなたは、どうしたらよいと思いますか?


(1) このまま登録作業を進めることでよい 27.1 %
(2) 強制徴用があったことにも触れた内容にして進める 40.4 %
(3) 反対されている施設をはずして進める 16.3 %
(4) わからない、答えない 16.3 %

日本が進める「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録について、韓国政府は「朝鮮人強制徴用の歴史がある施設を世界遺産に登録するとは何事か」と猛烈に反対している。日本政府は「あくまで『明治』だから!朝鮮併合(1910年・明治43年)以前の価値を登録するだけだから!」と釈明している。日本のマスメディアは大きくこの問題を伝えている。韓国政府の主張も広く伝えているが、その伝え方はあくまで日本政府の立場に立ったもので、テレビメディアは韓国政府の主張に理は無く日本政府にこそ正当性があると強く伝えていた。


なのにこの問題に関する世論調査の結果で最も多かったのは、「強制徴用があったことにも触れた内容にして進める」という韓国にも配慮した妥協案である。「このまま進める」の27%を大きく10ポイント以上引き離してダントツのトップ。「反対されている施設を外す」という更なる妥協案も含めると、韓国に妥協する意見が過半数を占める。


たかが1メディアの調査にしてもこれには驚き。「右傾化」なんて言われているけど争いを好まない「反戦」が信条の日本人らしい回答結果になってると思った。


この問題はどうなるか。最初は「世界遺産絶対反対」としていた韓国政府だが、ここ最近は「強制徴用の歴史も入れれば世界遺産登録もあり」という妥協案を提示している。まさに日テレ世論調査の「日本国民」の半数近くが受け入れられる主張である。しかし安倍政権はこの案を絶対に受け入れられないと拒否している。


明治日本の産業革命遺産は1910年より前の江戸末期から明治にかけて日本の産業革命を支えた複数の施設をまとめたもの。その一つに、廃墟で有名な「軍艦島」も入っている。しかし軍艦島の「有名な」廃墟マンションは世界遺産候補に入っていない。日本初であり現存する日本最古の鉄筋コンクリート製建造物である30号棟は世界遺産候補認定されていない。世界遺産登録されようとしているのは炭鉱施設の方である。世界遺産候補になったとき、軍艦島の資料映像で廃墟マンションの映像を流したテレビ局もあったと思うが、こういう理由で間違えている。しかし間違えるのも無理はなく、端島はあの団地が軍艦に見えることから軍艦島の愛称で有名になり、一つの集落全体が廃墟になってる珍しさからネットでも人気に火がついたのだから。という点からして、国は1910年以前に限定すると言わずに、認定されるかは別として住宅部分も含めて申請しておいてほしかった。まあボロボロになった鉄筋コンクリート住宅は保存・管理が難しいらしいので仮に世界遺産登録されても、維持することができずにすぐに登録から外れてしまうということも考えられるのだが。