新型コロナウィルスとチェルノブイリ事故。敵国批判の煽り自爆

中国武漢市発祥とされる新型コロナウィルス(COVID-19)。ウィルスの封じ込めのため人の移動が制限され武漢のある湖北省では経済活動がほとんど停止している状態にまでなっている。中国共産党政府に批判的な民主活動家や宗教団体、香港、台湾、アメリカ、日本のメディアは、新型コロナの脅威を煽り、中国共産党政府の対応を批判し続けた。米メディアのフィナンシャル・タイムズは、新型コロナは「中国にとっての「チェルノブイリ」」であり、「1986年に起きた旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同様、独裁体制の虚偽と不条理が白日の下にさらされるのだ」とまで言っている。

www.nikkei.com

他にも、中国に批判的なメディアで、今回の新型コロナをチェルノブイリに例えている記事が少なくない。それは、チェルノブイリ事故が旧ソ連の失墜を象徴し、5年後の崩壊につながったのと同様に、新型コロナが中国の失墜をあらわにし、共産党政権の崩壊につながってほしいという期待の表れでもある。そのために、新型コロナがいかに恐ろしいウィルスであるかを過剰に強調する。

それはチェルノブイリ事故でも同じで、当時、冷戦下で旧ソ連と対立していた西側諸国は原発事故で発生した放射能被害がいかに恐ろしいかを過剰に強調して世界に伝えた。ソ連は情報封鎖をしていたので余計に効果があった。そのイメージが25年続いた後、2011年に日本の福島で原発事故が起きた。チェルノブイリ事故の酷い被害のイメージを植え付けられた日本人は放射能を断固忌避して風評被害が起きた。かつてのソ連放射能事故への対応がブーメランとなって返ってきたのだ。日本政府は「科学的に」放射能被害は大したことがないとの説明に躍起になった。

新型コロナは、反中感情がある日本国内で、とんでもなく恐ろしいウィルスであると喧伝された。日本国民はSNS、ネット、マスといった各メディアを通じてそういうイメージが植え込まれた。中国に風評被害が巻き起こり、共産党政権が崩壊することを期待した。そこまで思わなくとも、調子の良かった中国経済が停滞し、しおらしくなることを期待した。数週間後、日本で新型コロナが発生、流行となった。恐ろしいウィルスであるとイメージが植え付けられた日本人はマスクに殺到し品切れが次々と起こった。中国政府批判の言説がブーメランとなって返ってきて、日本政府の対応のまずさが国民から、さらには世界から大きく批判されることとなった。今、日本国内では新型コロナは冷静に考えると対して恐ろしくないウィルスで大したことないとの説明に躍起になっている。

今どき敵失だと喜んで世論を情報操作しようとしてもろくなことにならないのだという教訓。