いわゆるネトウヨと呼ばれる産経・正論系の保守層の方たちが、朝鮮人学校に補助金を求めた弁護士会の弁護士らに大量に懲戒請求を送付し、弁護士から逆に不当な懲戒請求だとして損害賠償請求を民事提訴することを予告された騒動。
弁護士の反撃とか呼ばれている。
ネットでは、複数の弁護士がこの動きを支持している。また、ネトウヨをからかうことができると一般ユーザーも賛同している。
一方で、弁護士の中にも、そこまでやることかと、疑問を呈している者たちもいる。
そういう批判に対して、原告の弁護士らは、反論として、「被害を過小評価しすぎている」、「被害者が賠償請求して何が悪いのか」、と訴える。
その通りではあるが、疑問の声が出てくるわけは、「被害者が損害賠償請求をしたから」ではなく、一連の損害賠償請求の騒動がワイドショー的なエンタメ化していること、関係人物の外野でそういう動きで盛り上がっていることへの嫌悪感からだろう。
裁判がすべて終わってから「こうこうこういう損害賠償請求して勝訴しました。以上です」と報告されるだけなら、ツッコミどころは何もない。
リアルタイムで支援を求めチーム作りを外に見せていくと、線引きも明確になり、外野となった観客はヤジを飛ばすようになる。
しかしヤジが増えようと、戦うためには仲間を集める必要があり、ネットで呼びかけ続けなければいけない。難しい。
考えることとして、外野のヤジに対する、仲間の反論に、「あらゆる被害者の権利行使は必ず外野から揶揄され批判されるが、それでも声を上げ続ける『トラブルメーカー』が社会を動かす」というものがあった。
ここでの「トラブルメーカー」は、「ネトウヨを訴えた弁護士」を指しているが、自分としては「実際に社会を動かした『トラブルメーカー』は懲戒請求出したネトウヨのほうではないの」と思った。
ネトウヨが懲戒請求を出した理由は、各個人の「被害者意識」からだろう。ネトウヨの思想として、必ず中国や韓国・朝鮮に対する被害者意識がある。だからこその朝鮮人学校に補助金を出せと要望した弁護士会への懲戒請求だった。
しかし弁護士らは、懲戒請求は不当であるとして損害賠償請求をした。それはいい。ただ、代わりに、ネトウヨが弁護士に対して抱いた被害意識を含む不満について、他にどのように弁護士に届けられる手段があるのか、教えてあげればいいのにと思った。
安易な懲戒請求の手段を広めたのは橋下徹元大阪市長だが、代わりにどんな手段が有効なのか。弁護士会の活動への不満について、懲戒請求ではなく、ネトウヨが訴訟することは可能なのか。