「黒い雨」メールをデマの代表例に使うな

今日のNHKあさイチ」。震災で広がったチェーンメールについて問題視。めざましテレビのココ調と同様に、茨城の石油コンビナートの火災の時に起きた「有害物質が含まれた雨が降る」というデマについて取り上げてた。内容はココ調とほぼ同一。ココ調が街角インタビューからチェーンメールの発信元を追跡したのに対し、あさイチNHKディレクターにタレコミした主婦へのインタビューのみ。調査内容はココ調調査に軍配。どちらも大元はTwitterと結論。ココ調はTwitterで広まった原文を作ったとされる女性に直接インタビュー。NHKでは荻上チキさんがグーグルリアルタイム検索でTwitterでデマの原文が出来ていく過程を推測。こちらもフジテレビの勝利。NHKにしては物足りない調査だった。もしかして後日、クロ現かAtoZで再調査されるのかもしれない。
で。デマの代表例にやたら「黒い雨」が使われるのはどうしてだろう。NHK室井佑月さんが「これはここまで問題視されること?」と言ってたが同意見だ。解説者の方が「今回は大した問題になってないかもしれないが、デマからパニックになり外国では虐殺も…」と返していたが、そうした啓蒙をしたいならもっと他のデマを例に使えばいいのに、と思う。
沿岸で地震が起こると、テレビでは気象庁の注意報や警報がでてないうちから「念のため津波に警戒してください」とアナウンサーが注意を促す。それと一緒だ。これは単なる注意喚起でしかない。何の根拠も持ってないアナウンサーがテレビで津波警戒を訴えたからといってデマなはずがない。
3・11の石油化学コンビナートの火災を見たとき、普通に日本の学校教育をうけてきた人なら、「化学工場→火災→煙→有害物質→雨の仕組み→公害→健康への影響」という連想がすぐ出てくるだろう。みんなが同じ連想をしたからこそ、チェーンメールとしてここまで広がる。そこから先、「健康被害が起こらない」と結論付けられる人は何らかの専門についてる人だけだ。元はといえばNHKはじめテレビメディアはもうもうと煙が立ち上る火災の映像を流すだけで、不安を打ち消す報道をしてこなかったのが原因ではないか。火災の様子を流すさいに、専門家のインタビュー交えて「この火災では有害物質が出てないので近隣への公害の影響はありません」と解説すればいいだけだ。各放送局とも原発の専門家を集めるのがあんなに早かったんだから地震の混乱時でも工場火災を扱える専門家の一人くらいインタビューできるだろう。「地震津波」への対応と同じくらい「工場火災→有害物質の拡散」への対応をメディアがしっかりすればネットでの「注意喚起」がここまで広がることはない。


ココ調