匿名では本人の経歴に基づく信頼がない。
そのため発言内容に関する信頼の担保もない。
だから受け手は「ソース出せ」と外部に信頼を求める。
発信者はそこで今一度自分の知識の源泉の再確認をさせられる。
自分の知識は、経験から得たものなのか、受け売りなのか。
そしてネットのやり取りは「ソース」の出し合いとなる。
これはあたかもカードバトルの様相である。
「そのソースへの反論は既にこのソースで論破している!」
「それは恣意的な引用で間違ってる!ソースはこれだ!」バシィッ
「お前のデマに対する俺の切り札は30年前の新聞記事だ!」ビシィッ
匿名ネット論壇では、お互いに「強いソース」を求めて日夜資料集めが行われるのだ。
そのソースバトルの手札を集めた「デッキ」となるものが「まとめ(キュレーション)」である。
「強いまとめ」があれば、どんなあやふやな情報にも、即座に正確な情報を提供できる。
まとめが求められるのはこれである。
しかし現状、このような匿名ネット論壇は完全に廃れた。
SNSは実名・顕名での活動が当たり前となった。
専門家の専門知の前では、匿名が集めた「ソース」など紙くず同然なのである。