酒井順子が新聞のコラムで「女が子供を作らない理由は『結婚がうらやましくないから』」と書いていた。その真意は、「今は結婚のハードルが高すぎるから、政府は単なる同居でも夫婦と同じ権利や社会保障を認めるフランス型パートナー制度を作れ」というよく聞く主張であったが、少子化の原因を『うらやましくないから』という言葉で説明するのは納得。
母となった女性がうらやましくないから、逆に言えば、産まない選択をして働く女性がうらやましいから、子供を持たない。別に男でも言える。父親となった男性がうらやましくない、子供を持たない選択をした男性がうらやましいから、子供を持てる立場であっても子供を持たない。
実際は、うらやましい、うらやましくないの感情の間を揺れ動くのが人生の歩みだが、出産適齢期の年齢時には「うらやましくない」の波のほうが強いのではないか。SNS社会の現代では「うらやましがられる」相手でないと結婚、妊娠、出産まで到達できない、と言い換えることもできる。
子供を持つことを「うらやましく」させられれば、出産する女性も増える。2人以上の子供を産んだ女性は年金、保険料無料、子供手当てとは別に月数十万円支給といったどっかの東欧のような政策が一番手っ取り早くはある。生まれた子供とは別に産む女性のための手当てを作らないと結局は産むことが「うらやましい」とはならない。子供が成長して独り立ちすれば、母親の手元には自由なお金が残るので何でもできるようになって「うらやましい」となる。