日本の自殺者は年間3万人。硫化水素ガステロ事件が年間3万件起こる危険

ここ最近毎日、硫化水素自殺の報道がある。ここまで流行してるのは過剰な報道のせいだ、という意見もあったが、「毒ガス自殺」という周囲の無関係な人々も巻き込む可能性が大きい自殺方法では、被害者拡大の予防のため、報道する必要性もある。


2008年の初期に起こった自殺は、助けに入った家族が巻き込まれて重体・死亡するケースもあったが、連日の報道のおかげか、4月に入ってからは、毒ガス発生の張り紙発見から避難までスムーズに動けるようになったのではないか。しかし逆に硫化水素による自殺が増えたというジレンマ。


こうした他人を巻き込む形での自殺が増えたことにより、報道を通じた社会の目も一段と厳しくなってきた。フジテレビの報道番組「とくダネ」では司会の小倉智明が「死ぬのは勝手ですが・・・」と発言、今までの上辺だけでも「自殺させない」的な報道姿勢から、「自殺してもいいけど迷惑かけずにやれよ」的なものへと、「とくダネ」に限らず報道全体がシフトしている。コメンテーターやフリーキャスターの口を使って。


硫化水素をホテルやアパートで使った場合、その部屋を一度改装しなければ、人に貸し出すことができない。鉄道飛び込み自殺では多額の賠償金が遺族・本人に請求されるが、今回の自殺でも賠償請求されるだろう。自殺者にとって「硫化水素→家族が賠償」という図式を作れば、今よりは減るかもしれない。


硫化水素自殺が急激に増え熱狂的に報道されている今、では自殺者は増えているのだろうか。否、だと思う。年間3万人の自殺者たちが、その方法を硫化水素にしただけで、報道されたからといって、硫化水素自殺は増えこそすれ、自殺者を増やしてるわけではないのでは、ないかと。


そう、日本には自殺者が年間3万人もいるのだ。毎日100人近くの人が自殺している計算だ。硫化水素自殺が毎日次々と報道されても何の不思議でもない。逆に硫化水素自殺という、他人を巻き込む方法だからこそ、報道され、自殺者の多さが社会の目に止まるようになった。毎日こんだけ自殺者でるんだよ、硫化水素以外の方法で自殺してる人が毎日あと90人くらいいるんだよ、と。


硫化水素は自殺の方法のひとつだ。それも比較的手軽とされる方法。発生までは時間がかかるが、高濃度のガスを吸えば一瞬で成仏する。人が集まる場所で発生させれば毒ガステロになる。日本には自殺者は年間3万人もいる。つまり毒ガステロが年間3万件起こる可能性を抱えている。今すぐに硫化水素を発生させる薬品を規制するべきだろう。しかし、自殺者は減らない。