生活保護世帯の生体肝移植

今日のフジテレビのとくダネ。NHKセックスレス特集の合間にチャンネル変えたら、タイトルの話題をやってました。


生活保護を受給してる家庭の子供が、劇症肝炎にかかって命の危機。500万円の生体肝移植の手術が必要で、生活保護だから医療費全額無料になるはずが、手術に使う80万円の術具は、適用外だったと。80万円はなんとか用意できるが、そうするなら500万円も払わなければならなくなる。病院側で、生活保護者に生命の危機がある場合は国が全額負担する「特別事例」として厚労省に申請するも、許可がなかなか降りない。報道圧力の結果、厚労省が認めてくれて、最近手術が行われ、無事成功した、ということでした。


詳しくは
一刻を争う「劇症肝炎」少年に「厚労省の壁」 : J-CASTテレビウォッチ
http://www.j-cast.com/tv/2010/05/31067634.html


小倉さんやコメンテータの方が、「この特集のおかげで命を救うことができた」と自画自賛したり、「官僚は前例主義すぎる」と毎度の官僚批判をしたわけですが、私が「なんだかなー」と思ったのは、VTRであった手術を受けた子供の父親と母親のコメント。
「助かってよかった」「この事例が前例となって、他の困ってる人の助けになれば」というような、いたって普通のコメントなんですけど、ちょっとモヤモヤ感があります。ひと言足りないんじゃない?
今回、子供の命を救ったのは、生活保護という日本が定めた制度です。全国放送のテレビカメラが取材に来てるんだから、ひと言、「国に感謝します」と言うべきなんじゃないかと。「子供の命を危機に晒した官僚にだけはお礼言いたくない!」という気持ちがあるなら「日本国民のみなさん、子供が助かりました。ありがとうございました」「全国のみなさん〜」と上手くごまかしてもいい。子供を助けたお金がどこから出ているか考えてほしい。
もちろんテレビカメラに映らないところで、両親はちゃんと感謝の気持ちを内面にもっているのかもしれませんが。


で、こうした事例をテレビや新聞で特集するなら、それこそ国への感謝のコメントをしっかり取るべきだと思います。(『国への感謝』という言葉を右翼的に聞こえるなら社会への感謝と言い換えてもイイ)生活保護は、日本国民全員で協力して維持されてる制度です。制度をいくら活用しても構いませんが、こういった制度があることを当たり前に思い、社会に感謝の念も伝えられないんじゃ、制度はいずれ崩壊します。