大河ドラマの不気味の谷

大河ドラマ平清盛」。兵庫県知事に映像が汚いと言われ、NHK製作陣は「平安末期の舗装されていない空気感、武士と貴族との身分の違いなどを表現するためにスモークなどを使っている」などとメディアを通じて返答している。映画のような暗めの映像表現は「龍馬伝」から続く手法。
確かにリアリティがある。単なる舞台セットとは思えないように、背景となる街に奥行きを感じる。でもリアリティがある分、消化不良になっている。
ドラマ内で出てくる、食材も着物も刀も茶碗もすごろくも、この街、この世界のどこで作られているのか、誰が作っているのか、誰が運んでくるのか。小道具、小芝居全てに疑問を感じてしまう。
背景の街はリアリティあるけど、人の生活感を感じられない。RPGゲームに出てくる街みたい。「ここは始まりの村だ」としか言わない人のような特定の動きしかしない人しか住んでいない街。
戦国時代や江戸時代の時代劇なら、文化的な基礎知識もある程度頭に入っているので気にならなかったかもしれない。
長期の連続ドラマではなく、映画のようにストーリーがどんどん突き進む展開だったら気にならなかったかもしれない。
映像やセットにリアルを追求しても、それ以外のものが追いついてなければ、ちぐはぐさを感じてしまう。