日米歴史学者による「日本の歴史家を支持する声明」への日本国内の反応の整理メモ

歴史学者187名による「日本の歴史家を支持する声明」が出されたという見出しを見た時、その内容よりも、保守メディア・ネット右翼がどのような反応をするかを思い浮かべた。今までも国内から似たような学者の集団声明が出されたが、「左翼による無駄なあがき」的に一蹴するような反応が多かった。今回も「日本の左翼がアメリカの学者をそそのかして署名させただけ」と頭から切り捨てる反応が見られるのかと思っていた。しかし、そのように切り捨てる反応はあまり見られず、内容を読んだ上で「この声明は安倍政権批判をしたものではなく、韓国批判をしている正当なものだ」的なものが多勢を占めていた。当初不思議に思っていたが、下のツイート集を読んで納得した。ある意味非常に整理されたまとめだ。

欧米学者による「日本の歴史家を支持する声明」の舞台裏 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/820413

これを読むと、声明に対する反応が3つに分かれていることが分かる。1、声明はサンド、ダデン両教授により主導され、安倍政権と安倍政権支持団体による日本の歴史(従軍慰安婦)研究を軽視、無視することを批判したものだ、というもの。2、声明はサンド教授が主導し、ダデン教授は関わっておらず、声明の内容は安倍政権批判をしたものでも、韓国政府を支持したものでもなく、両者に妥協を促したもの。3、声明は、ダデン教授が日本のフェミ・左翼団体と共謀し主導したもので、当初は慰安婦問題で安倍政権批判を強調した内容だったが、米国内で賛同者の署名を集めるうちに、内容がマイルドになっていったのだ、という右派からの反応。1は実際に声明への署名に加わった日本人研究者たちが話している内容で、信頼のおける解説。2は署名に加わっていないがサンド教授に頼まれて声明を日本語訳した学者が話している内容で、その立場からのものとして興味深い解説。なぜダデン教授が主導していないことにしたいのか。翻訳をしていた時期に在米日本大使館職員と会っていたなんて話も。日本外務省としては、この声明に署名された米国歴史学者がビッグネームすぎて「どこの馬の骨ともわからない奴が日本批判している」といつもどおりに切り捨てられなかったのだろうか。なんとか声明を「日本批判ではない」という風向きに仕立てなければならない。そこで日本語訳で便宜を図るようにロビー活動をした。そして2の立場ができた。そう考えるとしっくりくる。ということで2は日本政府の声明に対する立場でもある。そしてマスメディアを通してこの受け止め方が流布している。