どうして五輪エンブレム問題で佐野研二郎氏を擁護していた人たちはパラリンピックエンブレムについて触れなかったのだろうか

以前、こう書きました。

このうち製作過程については嘘とは言えないが会見では隠されていた事実が後に出てきた。コンペ応募時は全く違うデザインで、会見で強調していた亀倉雄策の円のイメージがなかったという点だ。さらにこの元デザインがヤン・ヒチョルト展のポスターデザインのTのフォントとそっくりだったということで、更に「他人のアイデア・素材を盗用する人」というイメージが強化され信頼感が完全に失われた。更に疑問なのは原案を公開した会見でパラリンピックの原案が公開されなかったという点。佐野エンブレムの独自性としてパラリンピックエンブレムと一対になっているという点が挙げられていたが、セットとなるパラの原案が公開されなかったということは当初パラリンピックエンブレムは全然デザインが違っていた可能性を疑ってしまう。
http://d.hatena.ne.jp/rabbitbeat/20150907/1441611160


五輪組織委員会が記者会見で「エンブレム原案」を出した時、なぜ誰もパラリンピック原案について触れないのか、記者は質問すらしていないのか、多くの人が疑問に思ったかと思います。そして、その多くの人が「パラリンピック原案はもっと酷いデザインだったのではないか。だから公開できないのだろう」と考えたことでしょう。


この疑問に、やっと今週発売の週刊新潮が答えをくれました。

【緊急特集】「佐野エンブレム」のパラリンピック原案がヤバすぎ!
http://www.poc39.com/archives/4261


佐野氏のパラリンピック原案は「P」をモチーフに形づくられていたものでした。7月のエンブレム公表時に話していたのは、「五輪エンブレムと一対になるデザインに」「健常者も障碍者もイコールであるというメッセージをこめて『=』をモチーフに」という製作コンセプトでしたが、原案にはそれが見られません。これだけデザインが違っていては、エンブレム審査委員の平野啓子さんが、原案から修正することに了承しなかったのもうなずけるでしょう。


しかし改めて思うに、五輪・パラのエンブレムは一対となるようにデザインされることが募集時の条件でもありました。エンブレムは「2つで1つ」の存在であります。なのに、佐野氏のエンブレムを好意的に解説するデザイナーたちの記事ではパラリンピックエンブレムの存在が無視されてばかり。この点だけで読む価値ないと判断してしまう記事が多くあったのが残念です。リエージュ劇場とのロゴの違いを説明する上では、「佐野最終案はパラリンピックとの一対になっているという点で全くコンセプトが違う」と言うだけで本来は十分でしたのに。