遵法者が求めたマンガ図書館Zと割れ厨が求めたマンガ図書館Z

赤松健が作ったサイト『マンガ図書館Z』。ネットに溢れかえる違法アップロードされたマンガサイトに対抗すべく、昨年末にYouTube型投稿システムにリニューアル。従来は赤松健が直接権利者の漫画家と連絡をとるなど事前に許諾をもらってから公開されていたものが、権利者の許諾が確認されなくともユーザーが勝手に他人のコンテンツを投稿し公開できる仕様に変更され、何か言われたら削除する、という動画投稿サイトと同様のシステムに変更された。このシステム変更により、いつのまにか自分の作品が公開されている漫画家や関係者の報告が増えている。


本来、マンガ図書館Zに求められてきたことは、権利者の許諾確認、正規の手続きによる公開だったはずだ。大量の絶版マンガが無料公開、権利者が許可してるから違法コンテンツではない。それを売りにしていたはずなのに、権利確認がおろそかになったことで、結局遵法精神あふれる読者にとっては他の違法マンガサイトとの違いがなくなってしまった。


けれども、今まで違法コンテンツだろうが構わず利用してきた層にとっては、割れコンテンツをアップロードし、「間違えて」公開するボタンを押せばいいだけのこのシステムは、ちょっとしたマンガを共有するサイトとして歓迎できるかもしれない。YouTubeでは注目テレビ番組の録画の投稿が止まずに削除合戦になっている。これは「問題あったら通報あって勝手に消されるだろう」という認識が投稿者にあるからだろう。同じようにマンガ図書館Zのシステム変更により、責任というか公開されたことへの嫌悪感情はサイト管理者に向かうためユーザーの罪悪感は薄れてしまい、適当に読みたいマンガをバンバン「公開する」状態にすることができるようになった。