ネットニュースは短期間で削除していく方針にすべき

 NHKの番組「深読み」で、米大統領選に端を発する「ネットの嘘ニュース」問題について特集していた。専門家として呼ばれたネットニュースメディアBuzzFeedの偉い人が、自社の嘘ニュース検証記事を宣伝アピールしようとした時、NHKの解説委員が横入りして止めたりする見どころがあった。
 
 ゲストの中では、1人、映像監督の森達也さんが、「ネットの嘘ニュース」という「ネット」に限定したテーマ立てを批判し、正論を吐き続けていた。テレビ、新聞、雑誌など既存メディアの政治的な偏向や誇張はありふれているし、広告費や商品宣伝のための「嘘」「誇張」「大げさな」アピールも日常だ。森達也さんは「民放と違ってNHKには当てはまらないかも」なんて遠慮していたが、そんなことはない。最近のNHK報道では、トランプ大統領のニュースで、大統領の吹き替え声優が、悪意ある声色を使って吹き替えの演技をするのなんかも偏向であるし、「おはよう日本」の商品宣伝コーナーで取り上げる商品の選び方も、どのような基準なのか全く明らかにされておらず、「ステマ」でないことを証明できていない。
 
 とまあ、「嘘ニュース」問題はネットだけの問題ではない。ただし、ネット独自の問題としては「嘘ニュースが残り続けること」がある。既存メディアでは、嘘ニュースが報じられて、瞬間的に広がったとしても、嘘である限り、それ以上既存メディアが報じ続けることはなく、拡散は一定期間で終わる。テレビならその時間限り、新聞なら1日限り、雑誌なら1週間か1ヶ月限りというのが、情報の期限だ。この期限があるから、既存メディアは今まで堂々と怪しい情報も速報で流し続けることができた。後に嘘情報だと判明しても、その時は新たに正しい情報を報道して、情報の更新するだけでよかったのだ。
 
 ところがネットの場合、どんな情報でも、消さずに残し続けることを前提にしている。ネットサービスはサイトへのアクセス数を増やすことが収入につながるので、古い情報もコンテンツとして消さずに残し続ける。ブログでもSNSでもネットメディアでも同じだ。なので、そこに嘘が含まれていたとしても、ずうっと残り続ける。
 
 もちろんネットでも次々と新規情報が入って古い情報は埋もれていくのだが、そこはGoogleなど検索サイトや、サイトの関連記事表示機能などにより、定期的に表に出続けて完全に埋もれることはない。
 
 既存メディアがネットを恐れるのはこの部分で、ネットにコピペされるおかげで何年経っても過去に報じた古い情報がぶり返して拡散し、いつ検証され嘘が暴かれるか分からない。嘘や誇張があれば、それが古い情報でも誤りを指摘され非難を受ける。なので、既存メディアの報道は昔と比べておとなしくなったし、ネットでのコピペ拡散の仕方にも注意が払われるようになった。代わりに、そういうトンデモな記事や怪しい情報を流すようになったのが、ブログやSNSなど個人のネット活動で、今問題になっているフェイクニュースもここに入る。
 
 こういうフェイクニュースは、一度「嘘」と指摘されても、定期的に思い出したように別の誰かが思わぬところから拾い出し拡散してしまう。ネットの「コンテンツは消えない」という特性のおかげだ。
この「消えない」は、近年、別の観点から「忘れられる権利」として話題になっているが、結局これが重要で、「嘘」が忘れられないことが、ネットのフェイクニュース問題の真の課題である。
 
 忘れられるために、ブログやSNS、ニュースサイト等のコンテンツは常に消し続けるべきである。ブログは1ヶ月ごとに記事全削除、twitterは1日ごとにツイート全削除、ニュースサイトは1週間ごとに記事全削除。こういった機能をつけさせるべきである。
 
 削除しないまでも、少なくとも検索サイトのインデックスから外したり、サイト内検索から外したりして、アーカイブ限定にするべきである。