「うちの店に有名人の〇〇がきた〜」問題の原因はテレビ

雛形あきこ、ショック…店員のツイッターで個人情報漏えい!「信頼してただけに、ショックでした」 - シネマトゥデイ
http://www.cinematoday.jp/page/N0038394
雛形あきこソフトバンクショップでiPhone買ったら、対応した店員に「雛形あきこiPhone売った」とTwitterでつぶやかれ、抗議の意思を表明したとのこと。
他の客や通行人の「雛形あきこソフバンショップでiPhone買ってるのを『見た』」なんてツイートだったら問題視できなかったろう。店員が「売った」とつぶやいたことが問題になっている。
思い出すのは、ビビる大木が閉店直前の店に冷やかしに入ったことを店員にツイートされ揉めた騒動。ただあれは店員がビビる大木をディスッてるわけで、ビビる大木が反論するのも分かる。
今回は、「有名人の〇〇に売った」という情報を発信しただけ。揉めるほどのことか。
個人情報保護法の適用範囲って5000人以上の個人情報を扱う事業者だっけ?ソフトバンクは余裕で範疇に入る。
「有名人の〇〇に何々を売った」は個人情報か。住所、電話番号が流出したわけじゃない。
ツイートの軽さからくる不安は分かる。話が盛り上がって「雛形あきこの電話番号今度教えてあげるよ」とかつぶやかれそう。いつか流出するかもしれない。
しかし実際には「〇〇を買った」という情報しか流れていない。
軽さのないツイートだったどうか。「先日はショップでお世話になりました。Twitterアカウントを発見しましたのでご挨拶させていただきます。その後購入されたiPhoneの調子はどうでしょうか。分からないことがあったらいつでもショップにお立ち寄りください」みたいなアフターサービス満点のレス。SNSならではの光景で微笑ましい。むしろリアルとネットをつながないで何がSNSか。



先日、日テレのヒルナンデスのコーナーでココリコ遠藤がラーメン店に立ち寄ったシーン。遠藤が店員に尋ねる。遠藤「有名人も来店してるんですよね」店員「ダイノジの人が来ました」遠藤「もっと大物も来てますよね」店員「中尾彬さんがきました」。
こういうやり取りはテレビ番組では普通の光景。有名人が来店して何を食べたか。よくあるコーナー。
飲食店意外でも、レディ・ガガが新宿の服屋に来店して〇〇を買った、とか浜崎あゆみが来店して数十万円の買い物をした、と報じられる。全て店員が情報源だ。中にはカメラの前で店員が「〇〇はこれを買って行きましたよ」と商品を示して宣伝に使う。テレビや新聞、雑誌だから発信先は不特定多数なのはネットと変わらない。
テレビのこういうネタの数々は、昔からの「お約束」であったりして、全部許されている。ということになっている。もちろん裏で、店から対価をもらっていたり事務所やタレント本人と打ち合わせしている場合が多いのだろうが、そんなの視聴者には関係ない。
こういうテレビ番組が日常的に放送されている現状では、「うちの店に有名人の〇〇がきたよー」という情報を発信するな、というのは無理な話。テレビに出て稼いでいるタレントならなおさら自分の仕事を否定することになる。テレビ番組批判につながる。テレビ局の制作スタッフに、こういう番組の放送では「タレントの了承もらってます。」という一文をテロップに入れるべき、と進言したらどうか。



日テレのダウンタウンDXなんかは視聴者から有名人の目撃情報を募ってる。視聴者から投稿された面白おかしい目撃情報を、当のタレントは「止めて止めてw」「違うんですよっw」と半分焦りながら自分のネタに変える。だいたい有名人の変な行動が取り上げられて、有名人が言い訳、ダウンタウンが突っ込んで最後にみんなニコニコ笑いを誘うパターン。ビビる大木のショップ冷やかしネタなんかはDXに投稿すれば良かったのに、と思う。
ネットで有名人の変だと思った行動の目撃情報を発信すると、有名人本人からの批判、有名人のフォロワーからの大量批判、有名人のお仲間有名人の便乗批判、お仲間有名人のフォロワーからの…で何とも収まりがつかない。バラエティに出慣れたタレントなら笑いに変えてほしいところ。
テレビの目撃情報コーナーは事前に打ち合わせがある、脚本がある、そもそも視聴者投稿が捏造である、金をもらって出演している仕事である、などという意見もあるが、そんなの視聴者には関係ない。視聴者にはテレビで放送されていることがリアルである。
テレビもネットもリアルとつながっている。「フィクションです」と断り書きがなければ全部リアルとみなされる。リアルやネットで会った有名人にテレビと同じ扱い方をする一般人を責めるなんてちゃんちゃらおかしい。それが嫌ならテレビで最初からそういうことはするな、と発信してればいいだけ。
「うちの店に〇〇がきたー」というツイートが後を絶たない原因は、ネットリテラシーでもゆとり教育でもなく、テレビ番組にある。ソーシャルなつながりに対応できていないテレビ芸能界の甘えだ。