朝日の森友文書書き換え報道への野党と与党の反応の時間差

朝日報道が出た当初からの野党6党と政府与党の反応について、どうにも腑に落ちなかった。朝日報道は文書を入手したとも、関係者が証言したとも書いておらず、「文書を確認した」と書いてあるだけだ。朝日記事では「関係者はこうではないかと言っている」とは書いてあるが、ここに出てくる「関係者」は、書き換えに関わった当事者ではないので、情報ソースとは何の関係もない。あくまで情報ソースは「記者が目で見て『確認』した」とあるだけ。非常にあやふやなのだ。
 
それなのに、政府も財務省も野党も、報道直後から非常に興奮していた。加計学園問題で『総理のご意向』文書を報じた朝日記事を速攻で「怪文書だ」と否定した政府ですら、「調査中だ」と言葉を濁す。今思うと、この時点で書き換えは事実で間違いないと判断するのがセンスある人なんだろう。
 
ただし、書き換えの当事者の財務省以外の人には、表に見えてるのはソースがあやふやな朝日記事しかないわけで、その点で、民進党立憲民主党、希望、自由、社民、共産の野党6党が、「書き換えがあった」という前提で、政府と財務省を追及していたのが、当時はどうにも変にしか思えなかった。
 
特に財務省が「原本の写し」として、国会に提出したものと同じ文書を野党に提出した時だ。野党は「同じものを出しても意味がない。原本を出せ。大阪地検から取り寄せよ」と強く迫った。朝日記事しか情報を持っておらず、「朝日記事は真実か誤報か」のステージにいた自分には、この野党の姿勢は疑問であった。
 
もし財務省が原本丸ごと書き換えたものとすり替えていたとしたならば、いくら野党が「原本を出せ」と要求したところで、朝日記事にあるような文書が出てくるはずないのではないか、と思っていたからだ。しかし、野党議員たちは、誰もこういった疑問を持っている素振りを見せず、大阪地検に朝日記事に出てくる書き換え前の原本があると、確信しているようだった。
 
結局のところは、朝日記事に出てくる書き換え前の原本は、大阪地検にはあるようだと報道され、野党の姿勢が正しかったと判明した。ネットでは、朝日新聞の情報源として、大阪地検の特捜部に見せてもらったのではないか、と噂されている。
 
野党はどこからか、その情報源を耳にして、確信を持って財務省に要求していたのだろう。途中から政府与党側が「書き換えがあった」ことを前提にしたコメントがでてきたことから、野党のほうがその情報を得たのは先だったのではないか、と想像する。