報ステ「ジェンダー平等のスローガンは時代遅れ」CMは反フェミネット民をターゲットにしたもの

何が言いたいのか分からない気持ち悪いCMだったが、制作者が狙った意図の解説については東京新聞のこの記事が一番納得した。

 

報ステCM削除、何が問題だったのか「ジェンダー平等掲げるのは時代遅れ」に批判:東京新聞 TOKYO Web

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CMでは、「時代遅れ」という言葉が、子連れで職場復帰した先輩にふれた直後に続くことで、「ハッピーに働き、暮らしていてジェンダー平等はもう達成されている。掲げることがダサいというメッセージを発している」と分析する。

(略)
 「物事をわかっていないような『普通』の若い女性が、実は一番世の中のことをよく分かっているという構図だが、『普通』はこのくらいだと見下している。ただ、制作者が差別をしようとCMをつくるわけがない。『普通』の女性に寄り添うとの意図で、新しいものを作ろうと思ったのかもしれないが、結果的には内容も演出もうまくなかった」と説明する。

 

元はYouTubeにアップされたWebCMであり、CMのターゲットは普段テレビよりもYouTubeを見る若者だ。このCM内容をOKしたということは、報ステスタッフは「若者はジェンダー平等うざいと思ってる」と考えているということか。まあ実際、現在のSNS空間では反フェミニズム、反ポリコレといった言論が少し前の嫌韓に代わって台頭している。そういう層が「ネット世代の世論」と考えて報ステはこの内容をCMに選んだのだろう。

しかしこのCMは本当にターゲットにメッセージを届けられたのだろうか。「どっかの政治家が掲げるジェンダー平等のスローガンは時代遅れ」というのは各人それぞれの頭でリアルな政治家の顔を思い浮かべる。多くの人は非自民、野党の女性政治家の顔を思い浮かべ、野党批判の文脈で読み取るだろう。CMターゲットの若者ほど自民支持が多い。今のテレ朝は保守寄りの傾向が強いので報ステも野党批判で読み取られることを狙って作ったもので、「なんとなく野党うざい」と思うような若者にはメッセージ届けられたのだろう。

一方で「女性が子連れ職場復帰」なんてできる職場はリアルではまだ浸透してるわけがなくて、CMの彼女の勤める企業は東京の、意識の高い、よっぽど恵まれた会社ということになる。そんな特権的な企業勤めの人が「すでにうちの会社じゃジェンダー平等達成されてるんだよwスローガン時代遅れでダサすぎるw」なんて笑いながら話してたら反フェミ、反ポリコレの人でもかなりムカつくのではないか。

この「リベラル」的な意識の高い会社を自慢するという状況と、「保守・反フェミ・反ポリコレ」的なジェンダー平等のスローガンウザいという状況とが一緒になっていることで、結果的にCMが何を言いたいのか分からないものになっていて気持ち悪い。

これで政治的バランスを取ったつもりなのか。反ポリコレ的な傾向があるネット民に対して自虐を込めて「時代遅れ」と言ったのか。反主流の立場を自覚した上で「自分の考えは時代遅れかもしれないけど~」と自虐するというのは普通にある。