消去された読売バイドゥ記事から考えるWeb魚拓保存記事を広めるときの注意点

2014年5月4日に読売新聞がこんな記事をWebに載せた。


「データ引っこ抜きは通常業務」バイドゥ元職員 : IT&メディア : 読売新聞(YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/it/20140503-OYT1T50137.html
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.yomiuri.co.jp/it/20140503-OYT1T50137.html

最近話題になっていたバイドゥによる無断クロールによる迷惑行為問題(中国バイドゥ「顔文字」会社に30万回アクセス http://www.yomiuri.co.jp/it/20140503-OYT1T50136.html)に関連して、バイドゥの元社員が「そういうのは通常業務だった」と記者の取材に答えたというもの。



この記事は5月4日のうちに消去され、通常のリンクではもう読むことはできない。
ポータルサイトに転載された記事も一緒に消去されている。ライブドアニュースには、消去した理由としてこう書いてある。

提供社の都合により、削除されました。
概要のみ掲載しております。


バイドゥ元職員、問題行為を暴露 - ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/topics/detail/8800264/

読売新聞の都合で、バイドゥを告発した元社員の記事を削除したということだ。通常、WEB掲載の記事を一日のうちに消すことはない。ということは記事内容に問題があったということだ。
疑り深い人は「バイドゥからの圧力があって消された」と考えるかもしれないが、読売新聞はバイドゥIME問題を率先して記事にしてきた、バイドゥ叩きに一番力を入れているメディアであり、そんな圧力に屈することはないだろう。しかも他のバイドゥ批判記事は消されてないわけだし。



なぜ消したのか。元社員という裏付けを取ってなかったか、バイドゥ側の言い分を掲載しなかったことが社内規程に引っかかったとか、記事に問題があると思ったから一旦消したのか、何か技術的なミスで消えてしまったのか。理由が全くわからない。



問題が解消されれば再掲載されるかもしれないし、このまま消去されたままかもしれない。それも分からない。



この消えた記事だが、その直後からWebアーカイブに保存されたコピペ記事が広まっている。

「データ引っこ抜きは通常業務」バイドゥ元職員 : IT&メディア : 読売新聞(YOMIURI ONLINE
http://archive.today/sZFGR
http://b.hatena.ne.jp/entry/archive.today/sZFGR

消えた記事に何が書いてあったか知りたくなるのは当たり前のことだが、このアーカイブ記事に対するコメントに「新聞社自らが一日で消した記事」という認識が足りないのが非常に気になる。どのコメントもこのアーカイブ記事に書いてあることをそのまま受け取っていて、通常の報道に対するのと全く変わっていない。



Web上の報道記事はしばらく経ったらサイトから消去されてしまうので、そんな時Web魚拓やアーカイブサイトがよく利用される。そういうところに保存されてる記事を参照するのは構わないが、それは普通に消去されたものの場合で、何か曰くがあって消されたっぽい記事を参照するときはやっぱり注意したほうがいい。



この記事、結構大きな問題になりそうなスクープ記事なのに掲載されて一日経たずに理由不明で消去された、というわけでそのまま広めるのはいかがなものか。WEB魚拓に保存された記事を紹介するときは、なぜ元記事のリンクではないのか、元記事が消去されたのは何故か、を併記するようにしたい。



消された記事は読売紙面ではこんな感じとか



追記
バイドゥが上記の読売の記事についてコメントを発表した。

一部報道で報じられた当社元社員の発言内容に関しまして、該当業務の担当で昨年に当社を離職した社員はおりません。昨年に当社を退職した50代男性一般社員がいましたが当該社員は、当該業務を担当しておりません。当社が報道にあったような証言について調査した結果、そのような事実はないことを確認しました。なお、当記事のURLは掲載側の都合により削除されています。


Baidu(バイドゥ)ニュース - 『みんなの顔文字辞典』への大量のアクセス報道につきまして
http://www.baidu.jp/info/press/jp/140507.html

バイドゥ側としては読売新聞社の記事は完全な誤報ということのようだ。
ただ「社員」でないからといって、読売のWeb記事では「昨年まで働いていた男性」としており、見出しでも「元職員」、紙面見出しでも「元従業員」と「社員」とは書かれていない。単なるバイトなのかもしれない。読売新聞社は削除理由をネット上で明らかにしていないので、何らかのコメントが欲しい所。
紙面では何か弁解をしているのだろうか。