学術会議を批判する人とトランプ大統領を支持する日本人

日本学術会議をめぐる会員人事の問題で、やたら「学術会議と中国との関係」を持ち出す人たちがいる。デマも交えて「学術会議は中国と関係ある」と言い続け、デマが指摘されても「でも中国と関係あるのは事実」と言い続ける。

彼らは「中国と関係がある」という一点だけを問題にしている。

 

彼らが「会議が中国と関係がある」と問題視しているのは2015年に中国のアカデミーと友好関係を結び覚書を締結したことであるが、これは別に中国の軍事研究に協力しようとする文言は入っていないし、技術を売り渡そうとするものでもない。覚書を結んで以降、各大学で中国のアカデミーとの共同活動は進んだが、学術会議として何か一緒に活動をしたことはない。

しかし彼らは「学術会議は中国のアカデミーと関係を持った」こと一点を問題にしているので、活動があってもなくても、その内容が何であっても関係なく叩き続ける。

そもそも2015年の時点で、ファーウェイが絡んだ米中経済対立や香港問題は、世界的重大なマターとして出てきていなかったわけで、当時に覚書が結ばれたからといって政治的に何を追及できるのかという話だが、彼らは時間の経過など気にしないから、そこに「中国」という文字を見つけただけで叩き続ける。

また、彼らは学術会議が中国を批判する声明を出していないことを問題にする。会議は総理直下の組織だから、正確には「総理に対して中国を批判する声明出せと提言しないのは問題だ」と言わなければならないと思うが。とにかく中国批判をしないことを批判している。

これは学術会議に対してではなく野党議員に対してもそうであり、中国批判しない議員はSNSで攻撃され、中国批判のコメントを出したとしても、「批判が弱い」だとか「1回批判しただけでなく批判し続けろ」だとか叩き続ける。

同時期に世の中の注目の話題となっているアメリカ大統領選の行方についても、やたら「トランプが負けたら中国を止められなくなる。バイデンは中国の言いなりになる」と言ってトランプ支持(バイデン不支持)を促そうとする人たちがいる。こちらもデマを交えてバイデンを追い落とそうとし続け、デマが指摘されても「でもトランプ負けたら中国に利益あるのは事実」と言い張る。

こちらも彼らは「中国を利する」という一点だけを問題にしている。

これら「中国に関係あれば何でも中国スパイ」論の広がりには反中共組織の活動も入っているのだろうが、大まかにはファーウェイ制裁が始まる前までネットで氾濫していた「中国スゴイ」「深センスゴイ」論に対する壮絶な反動・バックラッシュが起きているのだと思う。今更「日本スゴイ」と正面から言えないので「中国ひどい」と言うしかできない。