・「ナチス憲法」を引き合いにした麻生太郎副総理発言について: 極東ブログ
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2013/08/post-4f68.html
例の麻生発言。極東ブログでも読解が試みられていた。
「あの(ナチスが憲法を無効化した)手口を学んだらどうか」という発言は反語表現だという。麻生は現状の改憲を望んでいないため、あのような表現になったのだと主張している。筆者があの発言を解釈するとこのようになるという。
反語表現として「あの手口をまなんだらどうか(その手口を学んではいけない・喧噪がないからと言って独裁はまずいでしょ)」
反語といっても、()内に続く文章が変な感じ。
ともあれ、極東ブログの主張の前提となっている、麻生は改憲に消極的、という推論について、問題発言の場となったシンポの主催者である櫻井よしこも同じことを言っている。
・【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】朝日が日本を国際社会の笑い物に…歪曲された麻生発言+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130805/plc13080517300007-n1.htm
月例研究会に麻生副総理の出席を得たことで改正に向けた活発な議論を期待したのは、大勝した自民党は党是である憲法改正を着実に進めるだろうと考えたからだ。
が、蓋を開けてみれば氏と私及び国基研の間には少なからぬ考え方の開きがあると感じた。憲法改正を主張してきた私たちに、氏は「自分は左翼」と語り、セミナー開始前から微妙な牽制(けんせい)球を投げた。
セミナーでも氏は「最近は左翼じゃないかと言われる」と述べ、改正論議の熱狂を戒めた。私はそれを、改正を急ぐべしという国基研と自分は同じではないという氏のメッセージだと、受けとめた。
櫻井はあの発言をこう受け止めたという。
麻生氏は尚(なお)、熱狂を戒めた。その中でヒトラーとワイマール憲法に関し、「あの手口、学んだらどうかね」という不適切な表現を口にした。「ワイマール憲法がナチス憲法に変わった」と氏はいうが、その事実はない。有り体に言って一連の発言は、結局、「ワイマール体制の崩壊に至った過程からその失敗を学べ」という反語的意味だと私は受けとめた。
あの発言。麻生流の冗談であることは誰も否定しないだろう。録音を聞いた時のおどけた感じ。笑う聴衆。笑わせるために言ったことだから、つまり麻生も聴衆も、ナチスは肯定してはマズイ、と認識している。それに反して「肯定してはいけないものを肯定する」から笑いが起きる。
結局、憲法改正に関する麻生の立ち位置をどう認識しているかによって、このジョークの受け止め方が変わる。
麻生が憲法改正に消極的と考えれば、この発言は、櫻井よしこら、当日その場にいた憲法改正に前のめりなパネリストに向けた皮肉として捉えられる。発言の前後を()で補足するとこうなるだろう。
(大騒ぎのまま憲法改正しても碌なことないよ。あんたらそんなに憲法改正したいなら)あの手口、学んだらどうかね。(でもそんなことできないでしょ?もう少し落ち着け)」
一方、麻生が安倍自民党の一員として憲法改正に積極的と考えてしまうと、あの発言はナチスの手口への羨望というか憧れみたいのを持っているように受け止められる。
(大騒ぎのまま憲法改正してもぐちゃぐちゃになる。自民の憲法草案に静かに変えたい。俺たちも)あの手口、学んだらどうかね。(そんなことできないのは分かってるんだけどね)」
・麻生発言はナチ肯定なのか? - 紙屋研究所
http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20130803/1375502413
問題は、「ナチスは悪い中身の政治をしたけども、その方法論は見事だった。180度かわるような大転換をやってのけてしまったのだから」という認識を麻生が持っていることなのだ。中身はダメだが、それと切り離した純粋な手口や方法は学んでもよい、という認識が麻生にはある。
紙屋研究所では、麻生がナチスについて「中身と切り離した手口の礼賛」をしていると、あの発言から捉えている。自分もそういうブラックジョークと思っていた。そして、その部分が世間で問題視されている。
誰に向けて、誰について話しているのか、その前提条件が分からないとジョークやギャグの受け止め方も全然変わる。共同通信他マスコミは、第一報の段階から、どんな場所での発言なのか具体的に書いておくべきだ。
(そういえば、麻生失言を読売新聞が積極的に報じていたのは、安倍支持派による麻生潰しではないか、みたいな意見を某匿名掲示板で見た)
最後に小田嶋隆のコラムより。
・麻生さんの「真意」のゆくえ:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20130801/251814/
結局、麻生さんのこの日の講演を虚心に聴けば、はじめから最後まで「何を言っているのかよくわからない」と思うのが最もまっとうな感想であるはずで、講演というのは、多くの場合、そうしたものなのである。
強いて感想を述べるなら、
「わりと面白かったけど散漫なスピーチでしたね」
ぐらいに言っておくのがせいぜいだろう。
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